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ハレとケとは

ハレとケ

古来より、日本人は、お祭りや儀式、年中行事などを行う日を「ハレ」の日、普段どおりの日常を「ケ」の日とよび、日常と非日常を使い分けて生活バランスをとる術を持っていました。
ちなみに「ハレ」は漢字で「晴れ」、「ケ」は「褻」と表します。「ハレ」の日といえば、お正月、ひな祭りなどの節句、お盆などの年中行事、神社の祭礼、七五三や成人式、冠婚葬祭などがあげられます。

これらの行事には、その日のためだけの特別な料理があります。
お正月には五穀豊穣を願い、ひな祭りには健やかな成長を願い、名月には豊作に感謝するなど、料理に込められたメッセージを知り、日本の文化や行事を楽しみましょう。

1月 睦月

お正月

毎年一年の幸福をもたらすためにやってくる「年神様」をお迎えする行事です。
お正月にいただくおせち料理や、家に飾る門松、鏡餅、注連飾りなどは、年神様をもてなすために欠かせないものとなっており、「あけましておめでとう」というこの時期だけの挨拶も、年神様と新年をお迎えできた喜びを表現するために交わされます。

一年の始まりであるおめでたいお正月は、年神様と深く関連付いた行事になります。

お正月

成人式

成人式は、「20歳という大人になったことを自覚し、自ら生き抜こうとする青年を祝い励ます」行事です。
奈良時代から伝わる「大人への通過儀礼」で、男子の「元服」、公家の女子の「裳(も)」の儀式がルーツとされています。地域の新成人が一堂に会して式を行う現在のスタイルになったのは、1946年、埼玉県蕨市で開催された「青年祭」だといわれており、スーツ、振り袖などの晴れ着を身にまとった新成人が、大人の仲間入りを果たします。

2月 如月

節分

節分(2月3日)は、24節気で表す「冬と春の季節の分かれ目」。
節分のような季節と季節の間には災いが起こりやすいという言い伝えがあることから、鬼と一緒に災いを追い払ってしまおうとするのが、節分に行う豆まきです。

豆まきを行い鬼を追い払ったら、歳の数だけ豆を食べて健康などを願う「年取り豆」や、その年の良い方角を向きながら、太くて具がたくさん入った「恵方巻き」を食べるというのも、節分の風習として知られています。

節分

3月 弥生

桃の節句

桃の節句は3月3日。
ひな人形を飾り、女の子の健やかな成長を願う行事とされていますが、古来は紙やわらでつくった人形で体をなでて悪いものを取り除き、身代わりとして海や川に流すといった風習でした。
それからやがて、人形と女の子が行っていた人形遊びが結びつき、女の子の成長を願う行事となりました。

ちらし寿司には「将来食べ物に困ることがないように」、蛤のお吸い物には「良いパートナーと出会えるように」という願いが込められ、ひなあられや菱餅とともにいただきます。

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桃の節句 雛人形 ちらし寿司

春のお彼岸

春のお彼岸は季節の変わり目であり、春分の日をはさみ前後3日間、合計7日間を期間とされています。
彼岸とは娯楽浄土のことであり、仏教に娯楽浄土は西にあるという言い伝えがあることから、太陽が真西に沈む春分の期間に先祖供養をするようになりました。彼岸前には仏壇をお掃除し、期間中にはなかなかお手入れができないお墓を掃除し、お参りをすることによってご先祖様へのご供養を行います。

卒園式・卒業式

卒園式・卒業式は、園や学校の教育課程を修了した子どもたちを新たなステージへ送り出す行事です。
保護者も参列のもと、ホールや体育館で卒園・卒業証書を受け取ったり、門出の言葉を交わしたり、合唱をしたりして卒園・卒業生を祝福します。式の前後、子どもたちがお世話になった先生にお礼の気持ちを伝える謝恩会を行う園や学校も多く、楽しかった思い出を皆で振り返ります。

4月 卯月

入園式・入学式

その園や学校に入園・入学する事を祝う行事。入学式は、明治時代くらいまでは9月に行われていましたが、徴兵令の改正に伴い、1921年に4月入学が定着するようになりました。
式では、園長先生、校長先生による式辞、新入生の名前読み上げや誓いの言葉、園歌・校歌斉唱、在園生・在校生との対面式などが行われます。担任の先生といっしょにクラス全員の記念撮影を行う園や学校も多く、子どもたちの新たな門出を祝います。

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卒園式・卒業式

お花見

木々に咲いている桜を鑑賞し、春の訪れを感じる行事。
日本の季節感を形作る風物詩でもあります。
花見の起源は、奈良時代。貴族が始めた行事ですが、当時は中国から伝来した梅の花を鑑賞するものだったようです。平安時代に入り、お花見の花が梅から桜へと移り変わり、現在に至ります。

桜の名所は全国各地にあり、この時期は、満開の桜を見ながら弁当や団子、桜味の饅頭などを食べ、春の訪れを楽しみます。

5月 皐月

端午の節句

5月5日端午の節句は、男の子のすこやかな成長をお祝いする日。
江戸時代に武家で祝うようになり、男の子のための節句として定着しました。
五月人形を飾るようになったのは、武家社会から生まれた風習。鎧や兜で「体を守る」という願いをこめて生まれました。
鯉のぼりは、子どもの立身出世を願い、飾られます。

難を避ける厄払いの力があるとされるちまき、子孫繁栄に結びつくといわれている柏もち、お祝い膳などを食べながらお祝いします。

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端午の節句、こいのぼり、ちまき

母の日

お母さんに感謝の気持ちを伝える母の日。
1970年代、アメリカのアンナという女性が白いカーネーションを捧げて亡き母を追悼したのがきっかけと言われています。やがてそれが全米に広まり、当時の大統領が5月の第2日曜日を母の日として設定したのが起源とされています。その後、日本でも、アメリカと同様5月の第2日曜日を「母の日」と定めました。カーネーションの花言葉は「無垢で深い愛」。日頃の感謝の気持ちをこめて、カーネーションの花束やフラワーアレンジ、鉢植えなどを贈ります。

母の日

6月 水無月

父の日

母の日に習い、父に感謝の意を表す「父の日」は、6月の3週目の日曜日。
1907年、アメリカのドッド夫人が地元の牧師教会に「父の日を作りたい」と相談し、父親に白いバラを贈呈したのが始まりとされ、1980年頃日本でも定着しました。日本では、「日本ファーザーズ・デイ委員会」が、家族の愛情や尊敬を表す「黄色」を父の日のイメージカラーとして啓蒙。黄色の花をはじめ、お酒やスポーツアイテムなどお父さんが喜びそうなものを贈る家庭が多いようです。

父の日

7月 文月

お中元

毎年夏、お世話になった人や親しい方に感謝の気持ちを込めて贈り物をする風習です。
中国は道教の習俗を起源とするお祭りに仏教の盂蘭盆会(うらぼんえ)が融合し、祖先の霊を供養する日として貴族や武家の間で浸透、江戸時代になると庶民の間にも広まり、現在に至ります。
時節柄メロン、マンゴーなどの果物やビール、清涼飲料などが定番商品で、東日本では7月上旬〜15日、西日本では7月中旬〜8月15日に贈るのが一般的です。

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土用の丑の日

立春、立夏、立秋、立冬前の18日間(一部19日間)を指す「土用」の中で、十二支の「丑」の日と重なる日のこと。
年によっては一の丑、二の丑と2回めぐってくることもあります。このうち、夏の土用の時期には夏バテで体力も落ちることから、土用蜆(しじみ)、土用卵、あるいは丑にちなみ「う」のつく食べ物で疲労回復をはかろうとする習わしが古くは奈良時代から行われ、中でもウナギはビタミンや脂質を補う食材として江戸時代より全国に広まり、現在に至っています。

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土用の丑の日

8月 葉月

お盆

一般に7月または8月の13日〜16日に行われる仏教行事で、盂蘭盆(うらぼん)とも呼ばれます。
日本に伝わったのは7世紀頃といわれ、当時は朝廷や貴族の仏教行事として先祖供養が催されていましたが、鎌倉時代末期より庶民の間でも読経やお供え物をする風習が広まり、寺請け制度が始まった江戸時代初期には、菩提寺の僧に棚経をあげてもらうという供養が行われるようになりました。
以降、盆踊りやお迎え火、送り火、精霊流しなど、さまざまな行事が夏の風物詩として各地に定着し、現在に引き継がれています。

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お盆

9月 長月

秋のお彼岸

お彼岸とは自然やご先祖様に感謝を捧げる仏教の伝統行事で、秋のお彼岸は秋分の日(通例9月22または23日)を中日(ちゅうにち)とする前後3日間、合計7日間をさします。
お彼岸にお寺の法要に参加したり、お墓参りに行くのは日本独自の風習で、お墓参りでは菊や桔梗、キンセンカなどの仏花を墓前に供え、先祖やなくなった人を供養します。なお、地域や家庭によっては、春を含めたお彼岸の時期に祝い事や引っ越しをしてはいけないといった言い伝えがありますが、基本的に根拠は認められていません。

敬老の日

敬老の日の始まりは、1947(昭和22)年に兵庫県の野間谷村(現・多可町)で「お年寄りを敬い、知恵を生かした村作りを」という考えのもと「としよりの日」が提唱されたことに由来します。
この「としよりの日」は次第に全国へと広がり、1964(昭和39)年に「老人の日」と改称、1966(昭和41)年に国民の祝日となりました。2003(平成15)年以降はハッピーマンデー制度の適用により、9月の第3月曜日が「敬老の日」とされています。

十五夜

1年で最も美しいとされている「中秋の名月」を鑑賞しながら、収穫などに感謝をする行事。
平安貴族が中国の風習を取り入れ、江戸時代に入ってから庶民に広がると、里芋やさつま芋など秋の収穫ものを供えて実りに感謝する行事となりました。十五夜の夜は、秋の七草のひとつであるススキや秋の草花を花瓶に生けて供え、満月に見立てた丸い月見団子を15個盛ります。
月見団子は、お月見をした後、お月様に感謝しながらいただきます。

十五夜

10月 神無月

運動会

園・小学校・中学校で行われるスポーツ行事。当初は遠足やピクニックを行っていましたが、1897年(明治30年)頃から学校行事として定着しました。子ども達同士の協力や調和、連帯感などを養うことを目的に、紅白に分かれてかけっこや玉入れ、お遊戯、騎馬戦、応援合戦などが行われ、親は観覧します。多くの学校で秋に開催していましたが、最近では春に開催する学校も増えてきています。

11月 霜月

七五三

7歳、5歳、3歳の子どもの成長を祝う日本の年中行事として、神社・寺などで「七五三詣で」を行い、報告、感謝、祈願を行います。
発祥は天和元年11月15日(1681年12月24日)に江戸幕府5代将軍徳川綱吉の長男である徳松の健康を祈って始まったとされる説が有力視されています。もともとは関東圏における地方風俗でしたが、やがて全国に広まっていきました。発祥とされる関東地方では、一般に数え年3歳(満2歳)で女児、数え年5歳(満4歳)をで男児、数え年7歳(満6歳)では女児が行います。

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七五三

12月 師走

お歳暮

7日頃お世話になっている方々に対し、1年の締めくくりにお礼の気持ちとして贈るものです。
その起源は江戸時代までさかのぼり、毎年2回の盆と暮れの時期に、長屋の大家さんや取引先に対し「日頃お世話になっています。これからもよろしくお願いします」という意味を込めて、店子や商人が贈り物を持参したのが始まりの1つといわれています。それが商習慣と結びつき、現在のような形になったといいます。
ハム、高級肉、スイーツ、ビールなどが定番商品で、東日本では12月上旬〜12月31日、西日本では12月中旬〜12月31日に贈るのが一般的です。

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お歳暮

おせち

おせち料理は、漢字で「御節料理」とかきます。年神様にお供えする料理で、お供えを分かち合うことで神様の御利益にあずかるために、お正月に食べられるようになりました。
料理の中身は、どれも保存食。正月の間に出る火は年神様の神聖なものとされており、その間は火を使うことを慎むことから、作り置きできる料理を重箱に詰めていたと言われています。
家族の幸福を願い、数の子は「子孫繁栄を願う」、伊達巻は「文化の発展を願う」など、それぞれの食材に意味が込められています。

おせち

お祝い

お食い初め

赤ちゃんの生後100〜120日頃に、「食べ物にずっと困らないように」という願いを込めて行われる行事。
献立の内容は、地域特有のものなど様々な種類があり、それを赤ちゃんに食べる真似をさせることによって、すこやかな成長を願います。
お食い初めは、平安時代に、3歳頃に初めてお魚を食べさせる「真魚始め(まなはじめ)」という儀式が起源とされています。初めてお箸を使うので、「箸揃え」「箸初め」「歯がため」と呼ぶ地方もあります。

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お食い初め

一升餅祝い

赤ちゃんが1歳になった時に、1升のお餅を風呂敷で赤ちゃんに背負わせるお祝いの行事。
「一生(一升)食べ物に困らないように」「丸いお餅のように円満な人生を送れるように」という願いが込められています。赤ちゃんから離れたところにソロバンや財布、筆などを並べ、近付いて行った赤ちゃんが最初に手に取った物で将来を占う「選び取り」とともにお祝いする家庭が多いようです。

誕生日

家族や親しい人の誕生日は、とても大切にしたいもの。とくに子どもの誕生日は、子どもの成長を実感できる記念日です。お祝いの仕方はさまざまですが、子どもが小さいうちは、自宅に祖父母などを招待してパーティを行うという家庭が多いようです。プレゼントを贈り、ちょっと豪華な料理、バースデーケーキでお祝いし、年に1度の記念日を楽しく過ごします。

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還暦

還暦とは、満年齢で60歳(数え年で61歳)。
60年で干支が一回りして再び生まれた年の干支にかえることから、 元の暦に戻るという意味でこのように呼ばれています。還暦祝いは60歳を迎えたことを喜ぶ長寿の行事で、「もう一度生まれた時に戻る」の意味を込め、魔除けの色である赤いものを身につけてお祝いする風習が多くの地域に残されています。

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還暦祝い

厄年

厄年とは数え年で男性が25・42・61歳、女性が19・33・37・61歳になる1年間を呼び、その前年を前厄、後年を後厄として、それぞれ3年間の注意を促しています。中でも男性42歳、女性33歳は「大厄」と呼び、特に注意が必要な年齢と言われています。厄年の時には予期せぬ災難にあいやすい、人生の転機が訪れる人が多いとされており、厄除け、厄払いのお参りに足を運ぶのが通例です。

※ ここで紹介している季節の行事は、地域により、時期や内容が異なることがあります。