■おせちの準備の季節がやってきた! おせちの基本知識と傾向について
今年も残すところ、あとわずかとなりました。
お正月のおせち料理の準備は進んでいますか?
おせち料理というと日本で発祥したと思われがちですが、その由来は、中国にあります。
古くは中国の唐の時代、1年を竹の節(ふし)のように区切り、普段と異なる日であるお盆やお正月を「節(せち)」と呼んでいました。
日本でもこれに習い、節日の会食のことを「節会(せちえ)」と呼び、その食べ物を「お節」と呼びました。
これが元となって、お正月にいただくお料理を「お節料理」とよぶようになったといわれています。
おせち料理は、正月を祝う「屠蘇肴」を組み入れたり、日持ちの工夫をしたり、お重の組み合わせのルールを作ったりなど、私たちの祖先が何代もかけて作り上げてきました。もともとの由来は中国でも、長い年月を経て、日本のお正月のごちそうとなっています。
今コラムではおせちについての基礎知識と一緒に最近の傾向について見ていきましょう。
【おせちの歴史】おせち料理の起源は? 奈良時代が有力
おせち料理の起源については諸説ありますが、古くは奈良時代にさかのぼるといわれています。奈良時代の朝廷で、暦の上で節目となる節日(せちにち)に開催された宴の席節会(せちえ)で、ごちそうとしてふるまわれていました。
平安時代になると、この節会が盛んになり、1月1日の元日をはじめ、年に5回行われていたそうです。この会でふるまわれていた料理は「御節供」(おせちく)と言われ、これが略されて短くなり、現代の「おせち」という名前につながったといわれています。
江戸時代になると、庶民の間にも「おせち」が広がり、豪華な料理で1年の最初の日を祝うようになりました。お祝いだけでなく、これから1年間の豊作・無病息災を願う風習は、現代に引き継がれています。
【おせちの歴史】重箱に入れるようになったのは、江戸時代末期から
おせち料理というと、「重箱」というイメージがありますが、おせち料理が重箱につめるスタイルとして確立したのは、江戸時代末期から明治時代にかけての時期といわれています。
重箱に詰められるようになった理由は、
・ 箱を重ねる=めでたさを重ねる
・ 箱に詰めることで場所をとらない
・ 重箱に入れておくとお客様にふるまいやすい
・ ふたをすることで、保存しやすい
などの理由があげられています。
重箱は、二段重ねや三段重ねが良く知られていますが、正式には「四段重」となります。
それぞれ「一の重」「二の重」「三の重」よばれており、数字の「四」は「死」を連想させることから、「四段重」は「与(よ)の重」とよばれています。
そして戦後、百貨店などでおせちが売り出されるようになります。
お正月の豪華な料理を「おせち料理」とよぶことが一般的になったのは、第二次世界大戦後。それまでは家庭で作られていましたが、戦後は百貨店などで、重箱入りのおせちが販売されるようになりました。その際に「おせち」という名称で売り出されたことから、広く一般的に「おせち」とよばれるようになり、現在に至ります。
【おせちの料理】おせち料理の具材は大きく5種類に分けられる
おせち料理を構成する具材の種類は地域により異なりますが、全体でおよそ20〜30種類。大きく分けると、祝い肴、口取り、焼き物、酢の物、煮物の5種類になり、それぞれの料理におめでたい意味や由来があります。
以下、種類ごとの具材と、そのいわれを紹介します。
■祝い肴、口取り
・かまぼこ…水平線や地平線から半分顔を出している太陽にも見えることから、「日の出」の象徴と言われていて、紅白の紅は古来より魔除けの色とされておりましたし、おめでたい様と慶びなどを表す色です。
・ 栗きんとん…黄金にたとえて金運をよぶ。
・ 伊達巻…古来より日本では文書を巻物にしていたことから、巻いた卵を食べることで知識が豊富になりますようにという意味があります。また、生命の源である卵料理をお正月に食べることで、子孫繁栄を祈る意味もあります。
・ 田づくり…片口イワシの飴炊きで、五穀豊穣を願う。
・ 黒豆…「まめまめしく」の意味が込められています。「まめな人」には「労苦をいとわず物事にはげむ人」の意味がありますし、「まめで暮らしております」といえば「健康に暮らしております」という意味です。
・ 数の子…卵の数が多いことから子孫繁栄を願う。
・ たたきごぼう…地中の深くまで根をはるごぼうは、家族が根付いて繁栄する意味をもつ。
・昆布巻き・・「よろこぶ」の言葉にかけて。
・海老・・腰が曲がるまで長生きできるように。
・たたきごぼう・・ごぼうは深く根を張ることから「根気がつく」「家が繁栄する」と言われる。
・紅白なます・・紅白の水引きをなぞらえた縁起物。
続いて、焼き物、酢の物、煮物の具材と、そのいわれを紹介します。
■焼き物
・ 鯛…恵比寿様がもつ魚としてハレの食卓にふさわしい。
・ ぶり…成長に伴って名前が変化する出世魚。立身出世を願う。
・ エビ…長寿の象徴とされていて、目が出ているので「めでたい」ですし、海老はカゴの中で暴れてとても威勢がいいので、力強さと生命力の強さの象徴とされています。
・ 貝類…ハマグリは、夫婦円満を表す。
■酢の物
・ 紅白なます…水引をかたどり、平安や平和を願う。
・ 菊花かぶ…日本を象徴する菊で邪気を払う。
・ コハダ粟漬け…出世魚のひとつで立身出世を願う。豊作も祈願する。
■煮物
・ 筑前煮・お煮しめ…たくさんの具材を煮て家族が仲良く暮らせることを願う。
・ くわいの煮物…すらりと伸びた芽をもち立身出世を願う。
また、それ以外にも定番意外でおせちで使われている食材があります。
・ 奉書(ほうしょ)巻き
奉書(ほうしょ)とは、上質の和紙のこと。かつら剥きにした大根やかぶを奉書に見立て、具材を巻いた料理です。巻く具材としてはカニや数の子、ハム、スモークサーモンなどがあります。
・ 棒だら
関西のおせちの定番です。干した鱈を水に戻してから甘辛く煮つけた料理。あらかじめ戻したものも売っているので、最近はそちらを使う方が主流のようです。
・ 八幡巻
ごぼうに鰻などを巻き付け、たれで煮るか焼き上げる料理。最近では、うなぎのかわりにあなごや牛肉、鶏肉を使った八幡巻も登場しています。
・ チョロギ
クネクネした見た目が貝のようですが、実はシソ科の植物。梅やシソの風味に味が付けられていることが多く、黒豆に添えられていることもあります。カリカリとした食感が魅力です。
おせち料理の「祝い肴三種」とは
「祝い肴(いわいさかな)三種」とは、お正月のお祝いに欠かせないとされている三種類の料理のこと。「三つ肴」「三種肴」とも呼ばれています。
関東の祝い肴三種は、「数の子」「黒豆」「田作り」の三つ。
関西の祝い肴三種は、「数の子」「黒豆」までは同じですが、最後の一つは「田作り」ではなく「たたきごぼう」です。
この祝い肴三種とおもちをそろえれば、最低限のお正月のお祝いができるとされています。逆に、他の料理や飾りがどれだけ豪華でも、祝い肴三種がそろっていない場合は、お正月をお祝いするお膳の体裁が整わないといわれています。
祝い肴三種の「三」は、昔の人は「三」という漢字が「完全」を意味すると考えていたからだそう。
おせちに使われている縁起のいいお魚や野菜にも意味があります。
例えば、鰤はイナダ→ワラサ(関西ではハマチ)→鰤へと成長を遂げることから出世魚といわれています。
蛸は「多幸」と語呂が似ていて、茹でると美しい紅に染まることから縁起のいい魚介類とされています。そのほか、墨を吐くところから「蛸のごとく、苦難をけむにまけるように」という願いを込めます。
蛤は二枚の殻がぴたりと重なるので、夫婦円満の象徴として結婚式やおせち料理によく使われます。また、桃の節句のお祝いに蛤のお吸い物をよく使いますが、これは「良縁」を願ったものです。
縁起のいい魚介類の最高峰は、鮑でしょう。昔から鮑は100年生きると考えられており、長寿の象徴です。また、鮑の貝殻には魔除けの効果があるといわれておりますので、おせち料理に鮑はよく使われます。
意外なところでは、サザエも縁起物です。サザエの「ササ」は小さい、「エ」は家を意味します。小さいながらも幸せな家庭でいられますように、という願いを込めて、おせちなどで栄螺(さざえ)を食べるのです。また、源頼朝と北条正子が伊豆山に身を寄せていたとき、源氏再興の出陣の際にサザエを食して天下をとったといわれていることから、一家繁栄の意味もあります。
おせち料理には椎茸がつきものですが、椎茸は兵が戦場でかぶとの代わりにかぶった陣笠に形が似ています。陣笠を食べることで身を守り、怪我なく一年を送ることができますように、という意味があります。
ごぼうは細く長く地中にしっかり根を張ることから、浮つかず、基礎を大切にした一年を願って食べます。
また、成長が早くすぐ長い竹に育つ筍を食べることで、子どもたちの成長を祈ります。
【おせちの重箱】おせちのお重に込められた意味
■おせちは年神様にお供えするお料理でもあります
おせちを重箱に詰めるのは、「重箱に詰めることにより、幸せを重ねる、福を重ねる、おめでたさを重ねるなどの願いを込めるため」という意味があります。
現代のお取り寄せおせち料理の主流は、三段重ねと五段重ねのようです。
元旦には、それぞれのご家庭に新年の幸せをもたらすために、高い山から「年神様」が降りてくると昔の人は考えました。おせち料理は、新年を迎えられた幸せを年神様に感謝しつつ、お供えすることで新年が良い年になりますようにとお祈りするお料理でもあります。
■重箱の重ね方にもそれぞれ意味があります
年神様にお供えするお料理なので、重ね方にもそれぞれ意味があります。
三段重ねの場合、一の重には口取りや、祝い肴などお子様でもお召し上がりいただけるお料理が入ります。口取りというのは、本膳料理の初めに、お皿に盛ってお吸い物と一緒に出すお料理です。
祝い肴は、お祝い膳に出されるお酒の肴です。おせちの祝い肴は関東と関西では少し違うようです。関東では、黒豆、数の子、ごまめ、関西では黒豆またはごまめ、数の子、たたきごぼうが「祝い肴三種」とされているといいます。
そのほかにも、伊達巻や昆布巻、錦卵、栗きんとん、栗甘露、紅白餅、お多福豆など「お子様も大好きなもの」が一の重に詰められます。
年神様は甘い物がお好きという伝承がある地域もあり、一の重は年神様と乾杯をしながら、まずはお好きな甘いものをお召し上がりください、という意味があるのですね。
三段重ねの二の重には、お魚やお肉の焼物や燻製などの、いわば「メインディッシュ」が入ります。また、箸休めとしてデザートを入れることもあります。
三段重ねの三の重には、椎茸の甘露煮や鮑の含め煮などの煮物が入ります。
焼物や煮物で、年神様を歓待するのが二の重、三の重なのです。
■五段重ねには興味深い伝承があります
五段重ねの一の重、二の重は三段重ねと同じですが、三の重にはいかやうに、海老、たらこなど海の幸が中心の焼物が入ります。与の重は旨煮などの煮物が入ります。
興味深いのは五の重です。昔の人は、五の重には何も詰めていませんでした。五の重を空にすることで、年神様がそこに福を詰めてくれると考えたのですね。
今でも、ご家庭でおせちを作るときは、五の重を空にする地域が多いようです。
お取り寄せのおせちなどでは、年神様と一緒に食べることで、ますます新年が良い年になりますようにという祈りを込めたお料理を五の重に詰めています。
また、お正月三が日の間、少しずつ年神様や家族、お客様などにお召し上がりいただけるようにと、一口で食べられるお料理を詰めることもあります。
■仕切り方もいろいろです
重箱の仕切り方にも意味があります。
ポピュラーなのは、重箱を十字に仕切る「田の字型」や、3×3の9つに仕切る「市松型」。田んぼを象ることで、豊作を祈る仕切り方です。
また、中央に菱形を作る「七宝型」もおせち料理ではよく使います。私どもの特撰五段重の二の重がこの仕切り型ですね。古来より、日本は「七福神」「七草」「七夕」「お七夜」など、七の字をとても大切にしてきました。年の初めを祝うおせちでも、七の字を大切にしていることがよく現れている仕切り型です。
【おせちに関するよくある質問】おせち料理はいつまで食べる?
「年明けは、台所にあまり立ってはいけない」と言われるように、年神様を家に迎えるとされるお正月は、台所での作業を極力減らす料理として「保存がきく食べ物」が重宝されました。そこからおせち料理の原型が生まれたと考えられており、お正月の3が日にゆっくり食べると言われています。
また、良いことを流してしまう皿洗いなどの水仕事を松の内にしないためにも、おせち料理が作られたといわれています。味や食感がおちにくいものであれば、具材ごとに小分けにして保存しながら、遅くとも1月7日の松の内までに食べきるようにすると良いでしょう。
普段、家事で忙しい主婦が料理の手間から解放され、お正月をゆっくり過ごすという意味からも、保存食が中心になったと言われています。
【おせちに関するよくある質問】定番以外の“個性派おせち”って、どんなおせち?
おせち料理というと「和」のイメージがありますが、最近では多様なニーズに合わせ、さまざまな“個性派おせち”が登場しています。以下、注目の“個性派おせち”を紹介します。
■洋風おせち
フレンチやイタリアンなどのテイストを取り入れたおせち。ワインに合わせてひと味違うがうお正月を楽しむことができます。
■ヘルシーおせち
カロリー控えめ、低糖質、薬膳風、やわらかな食材を使うなど、健康ニーズをふまえたおせちも登場しています。高齢者や健康に気を使う方向けのおせちです。
■少人数・個食向けおせち
昨今の核家族化を反映し、少人数、ひとり暮らし向けのおせちのバリエーションも豊富になってきています。
■ご当地グルメおせち
北海道、京都など各地でとれた豪華な食材が詰め込まれた「ご当地グルメおせち」も登場しています。
■肉おせち
エビや数の子など魚介類もおさえつつ、ローストビーフなどお肉料理が充実した「肉おせち」も注目。
【おせちに関するよくある質問】おせち料理を食べる時に「祝い箸」を使うのはなぜ?
おせち料理といえば、「祝い箸」がつきものですが、そもそも祝い箸とは、お箸の両端が丸くなっているお箸のことをさします。
お箸の両端が丸くなっているのは「お箸の片側は神様のもの」を表し、祝い箸を使って食べることで神様といっしょに食事をするという意味合いがあるのだそうです。
また、古来より柳の木は「神が宿る木」と言われており、祝い箸には柳の木が使われます。 お正月の3が日は、この祝箸を使っておせち料理を食べるのが習わしです。
【おせちに関するよくある質問】お正月の祝い酒・お屠蘇の正しい飲み方
おせち料理といえば、お屠蘇(おとそ)。お屠蘇とは、無病息災や長寿を願ってお正月に飲む祝い酒で、「屠蘇散(とそさん)」と呼ばれる数種類の生薬をつけこんだものです。
屠蘇散の入ったティーバッグは、薬局・ドラッグストア、ネット通販などで購入でき、年末になると、みりんや日本酒の景品としてついてくることもあります。
関西では、日本酒、みりん、屠蘇散を合わせることが多いですが、関東より北では屠蘇散を使わず、日本酒をそのままお屠蘇として飲むこともあります。
お屠蘇を屠蘇器に準備したら、おせち料理を食べる前に「一人これを飲めば一家苦しみなく、一家これを飲めば一里病無し」と唱えてから飲むとよいとされています。
今回は様々なおせちに関する知識について解説しました!
しげよしのおせちは山海の幸を彩り豊かに盛り込み、老舗料亭の料理人が一品一品に心を込めた料亭のおせちになります。
老舗料亭の味を守りつつ、お子様からお年寄りまで家族みんなが美味しく食べられるようアレンジしました。
取り扱っているおせちは定番から、50種類を超える品数や欧風のもの等ご用意しております。
家内安全、無病息災など新しい年に託す思いをご家族や大切な人と話し合いながら、新しい1年の始まりにふさわしい特別なおせちを是非ご賞味ください!
配送については12月30日におせち配達に長年携わっている専門チームにて冷凍状態でお届けいたします。お重に盛り込み状態となっておりますので、冷蔵庫もしくは涼しい場所で半日〜1日かけて解凍してください。
毎年完売が続出し、今年も完売が予想されますのでご希望の際のご予約はお早めによろしくお願いいたします。