■色とりどりの花を咲かせる「秋の七草」
木々が色づき、植物の美しさを改めて感じられる季節になってきました。
秋といえば、秋の七草。
秋の七草とは、ハギ、ススキ、クズ、ナデシコ、オミナエシ、フジバカマ、キキョウの7つです。
・ ハギ ・・・マメ科の植物で、7〜10月頃、1cmほどの赤紫色の花を多数咲かせます。
・ ススキ・・・お月見といえばススキ。日当たりの良い野原などに群生します。
・ クズ ・・・マメ科のつる性の植物。9月くらいにチョウチョのような形の花を咲かせます。
・ ナデシコ・・・7〜10月頃、4〜5cmほどのピンク色の花を咲かせます、
・ オミナエシ・・・6〜10月頃、小さい黄色い花を多数咲かせます。
・ フジバカマ・・・8〜9月頃、5mmほどの小さな花を房上に咲かせます。
・ キキョウ・・・6〜10月頃、星形で青紫色の花を咲かせます。
「春の七草」はおかゆに入れて食べるのに対し、「秋の七草」はすべてお花。その姿を眺め、季節を感じます。
■「秋の七草」は、万葉集で詠まれていた
秋の七草は、奈良時代の『万葉集』に、歌人・山上憶良(やまのうえのおくら)が詠んだ和歌が2首あるのがもとになり、広くしれわたるようになりました。
その2首は、以下になります。
「秋の野に 咲きたる花を 指(および)折り かき数(かぞ)ふれば 七種(ななくさ)の花」
「萩の花 尾花(おばな)葛花(くずばな) なでしこの花 女郎花(おみなえし)また藤袴 朝貌(あさがお)の花」
「秋の野原で花を数えたら、素敵な花が7種類ありました。その花々は、これとこれと・・・」という、穏やかで幸せな気持ちを表した歌になっています。
ちなみに、春の七草は、
「セリ・ナズナ、ゴギョウ・ハコベラ、ホトケノザ、スズナ・スズシロ、春の七草」と、
五・七・五・七・七のリズムで覚えますが、秋の七草も、
「ハギ・キキョウ クズ・フジバカマ オミナエシ オバナ・ナデシコ 秋の七草」と、
同様のリズムで覚えることができます。
■秋の七草は、漢方薬として使われていたという説も
「見て楽しむ」ことが主な目的として知られる秋の七草ですが、一部の植物は、漢方薬としても古くから使われているそうです。
・ クズの根は、「葛根湯」として風邪に効く生薬として有名です。
・ ハギの根は、せき止めや胃の痛み、下痢止め
・ キキョウは、せき止め、のどの痛み
・ フジバカマは、糖尿病予防や皮膚のかゆみ止め
・ ナデシコは、むくみや高血圧
など、さまざまな場面で利用されてきました。
最近ではこのような使われ方はしていませんが、昔は、人々の健康を守る上でも貴重な植物だったといえるでしょう。
深まる秋。公園や植物園、お花屋さんなどで、秋の七草を探してみませんか?