【食材のこだわり】わさびについて【しげよし】

2021/02/21

■冬が旬のわさび。育つ環境により呼び方が変わる

冬の季節が旬で、薬味としておなじみのわさび。鼻にツンとくる独特の辛味が、料理のおいしさをひきたててくれます。
アブラナ科ワサビ属に分類されるわさびは、日本原産の多年生水生植物で、古来は山間の涼しい谷川の浅瀬に自生していました。平安時代は薬草として使っていたようです。

食材として使われるようになったのは、江戸時代。静岡県で自生していたものを移植して栽培したのが始まりで、美食家として有名な徳川家康がわさびを気に入り、現在の静岡市で栽培するようになったと伝えられています。

わさびは、育つ環境により呼び方が変わりますが、いちばんよく知られているのが、湧き水や渓流水で栽培された「沢わさび(水わさび/本わさび)」。一般的に、「生わさび」と呼ばれています。二大産地は静岡県と長野県で、全国の90%以上を生産しています。

岩手県が一大産地の「陸わさび(畑わさび)」は、畑に種子をまいて栽培したもので、わさび漬けや練りわさびなど、加工用として知られています。

家庭で調味料としてよく使うチューブ入りのわさびや粉わさびの主な原料となっているのが「西洋わさび」で、ヨーロッパが原産地となっています。

■お寿司にわさびがついている理由とは?

わさびといえば思い浮かぶのが、お寿司の薬味。お寿司になぜわさびがついているか、知っていますか?

さまざまな効能があるわさびですが、消臭効果や抗菌効果もあることで知られています。お寿司は生の状態の魚を扱うため、わさびをつけて食べることで、食中毒の防止にもなるのです。

ちなみに、握り寿司は、江戸時代後期に庶民の間に広がりはじめ、その頃にはわさびをつけて食べるのが主流になっていたそうです。ちなみに、当時の握り寿司は、おむすびくらいの大きさだったそうです。

■生わさびをおいしくいただくコツ

生わさびをおいしくいただくコツを紹介します。

⚫️お店で選ぶときは、鮮やかな緑色のものを
生わさびは鮮度が落ちるにつれ、緑色が薄くなってきてしまいます。鮮やかでみずみずしい緑色のものを選びましょう。また、手に持ったときにずっしりとした重みを感じるわさびは、水分をしっかり含み、良質なものが多いといわれています。

⚫️使い方により保存方法を変える
生わさびを数日で使い切る場合は、ぬらした新聞紙やキッチンペーパーなでなどで包み、冷蔵庫で保管しましょう。1カ月程度もたせたい場合は、グラスなどにわさびを立てて入れ、水を張って保存します。こまめに水を変えることを忘れないようにしましょう。

⚫️食べる直前にすりおろす
生わさびの香りと独特の辛みが発揮されるは、すりおろしてから10分ほど。食べる直前にすりおろすことで、よりおいしくいただけます。すりおろすときは、金物よりもセラミック製や陶器のおろし金がおすすめです。ゆっくり円を描くようにすりおろすことで、おいしさを保つことができます。

今の旬のわさび。店頭で生わさびを見かけたら、その独特の味わいと香りをぜひ味わってみてください!