■銀杏の独特の匂いの秘密は?
秋も深まってきました。
山々が紅葉で色づくころ、街路樹や公園樹として観賞用に、また、お寺や神社の境内に多く植えられているイチョウの葉も、美しい黄金色にそまります。
いちょうの木の周りに落ちているオレンジ色の木の実が、「銀杏」(ぎんなん)です。
いちょうには雄(おす)の木と雌(めす)の木がありますが、「銀杏」(ぎんなん)の実がなるのは、雌の木のみ。
銀杏というと、独特の匂いがすることで知られていますが、あの匂いの秘密は、
銀杏の「皮」にあるそう。
銀杏の「皮」には「酪酸」、「エナント酸」とよばれる物質が含まれており、
「酪酸」は、足の匂いの原因と同じ成分、「エナント酸」は、腐敗物のような悪臭を放つ成分の一部。この2つの物質がまじりあうことで、あの匂いにつながるそうです。
いちょうの木は、この世に恐竜がいたとされる中生代から存在し、長い歴史をもちます。
「生きた化石」ともよばれるいちょうの実である銀杏。太古の昔から備え持った防衛本能から、「周りの動物に食べられないようにするために、異臭を放つようになった」という説もあります。
■栄養価が高く、「薬」として民間療法にも
銀杏は全国各地で収穫されますが、国内生産量の1位は愛知県、2位は大分県、3位は福岡県です。
9月半ばから採れ始め、11月半ばくらいまでが収穫期の銀杏は、栄養価の高い食材として知られています。
でんぷん、カロテン、ビタミンCなどを含むのに加え、マグネシウム、リン、鉄など、骨をつくるのに欠かせないミネラルもたくさん含んでいます。
銀杏はまた、せきや痰、夜尿症などに効くとされ、民間療法して利用されることもあります。
ただし、食べ過ぎには要注意。
銀杏にはビタミンB6の作用を妨げる「メチルビリドキシン」という物質が含まれているためです。一度に食べる量としては、子どもは5粒、大人は10粒くらいを目安にしましょう。
■素揚げ、串焼き、茶碗蒸しetc. 銀杏を使った料理
銀杏を使った定番料理を紹介します。
【銀杏の素揚げ】
フライパンに1cmくらいの油を入れ、殻を割った状態の銀杏を入れ、転がしながら素揚げします。揚がったら塩をふりかけ、器にもってできあがり。
【銀杏の串焼き】
殻と薄皮をむいた銀杏を5粒程度串にさし、サラダ油で熱したフライパンで両面を焼きます。器にもって塩をかけ、完成。
【茶碗蒸し】
殻と薄皮をむいた銀杏を熱湯でゆでます。ボウルに卵を割りいれ、だしや調味料とまぜます。耐熱性の茶碗に他の具材とゆでた銀杏、卵液を入れ、蒸してできあがり。
【炊き込みご飯】
殻と薄皮をむいた銀杏を4〜5ミリの厚さに切ります。炊飯器にお米と水を入れたら銀杏をそこに入れて塩を加え、やさしくまぜて炊きます。
ホクホクした実がとてもおいしい銀杏。食べ過ぎに注意しながら秋の味覚を楽しみましょう。