【食材のこだわり】冬瓜について【しげよし】

2020/08/23

■「冬の瓜」と書くけれど「夏野菜」の冬瓜

冬瓜(とうがん)。「冬の瓜」と書きますが、旬は夏です。そのまま冷暗所で保存しておけば冬までもつことから、漢字では「冬瓜」と書きます。
冬瓜は、日本でも古くから栽培されていますが、アジアやインドが原産だと考えられています。

日本における冬瓜の生産量ベスト3は、1位が沖縄県、2位が愛知県、3位が岡山県。
主に関東以南の地域で作られています。皮が緑で縦長の形をした「琉球冬瓜」、丸い形をして白く粉をふいたような形の「大丸冬瓜」、かんぴょうの原料となる「ゆうがお」も、冬瓜の仲間です。

前述した通り、冬瓜の旬は、6月頃から9月頃まで。
冬瓜の90〜95%は水分で、カリウムを多く含みます。カリウムにはナトリウム(塩分)を排泄する役割があるので、高血圧の予防や利尿作用を促進し、むくみなども改善する効果がある野菜として知られています。

また、体の調子を整えるビタミンCの栄養分も豊富に含まれています。

■煮物、スープ、炒め物などさまざまな料理に

さまざまな料理に使われる冬瓜ですが、下ごしらえとして、下ゆでするのが一般的です。下ゆでの際は、種やワタをとりのぞいたものを、水からゆでるのがポイントです。緑の皮の部分は、全部むいてしまうのでなく、淡い緑の部分を残すことで煮くずれしにくくなります。

⚫️煮物・・豚肉や鶏肉、牛肉、焼きあなごなどと合わせて煮込みます。
⚫️スープ・・カニやネギなどの野菜を加えてスープに。
⚫️炒め物・・豚バラ肉、ベーコンなどに野菜を加えて炒め物に。
⚫️あんかけ・・鶏ひき肉、カニかまやホタテ、オクラなどとまぜてあんかけに。

調理法により、バラエティに富んだ美味しさを味わうことができます。

■冬瓜の種は生薬として使われる

今年も各地で猛暑日が続いています。水分がたっぷり含まれている冬瓜は、夏バテや熱中症予防の食材としてもおすすめです。体内に水分が足りないときに、冬瓜を食べることで、水分不足を補ってくれます。

また、冬瓜の種は、利尿や便秘改善に作用する「冬瓜子(とうがし)」と呼ばれる生薬としても知られています。「冬瓜子(とうがし)」は、冬瓜の種を乾燥したもので、体のほてりをとったり、肺炎によるせき、化膿症などに用いられています。

さらに、冬瓜の生の実のしぼり汁は、発熱、食あたり、暑気あたり、糖尿病ののどのかわきになどに効果があるともいわれています。民間療法の貴重な食材としても知られているのです。

料理の材料としてだけでなく、「薬膳」の素材としての顔も持つ冬瓜。旬の時期に、その美味しさを味わっておきましょう。