■高級食材、縁起物として知られる「はまぐり」
和食の素材でおなじみ、海の味覚のひとつ・はまぐり。
高級食材としてだけではなく、大きな2枚の殻が美しく重なる形状に「夫婦和合」の意味がこめられ、「縁起物」としても古くから親しまれています。
たとえば、はまぐりのお吸い物。「生涯ひとりの人と添い遂げるように」という願いをこめ、ひな祭りの祝い膳に欠かせない料理として知られています。
はまぐりの旬の時期は、2月〜4月が一般的。5月〜10月に産卵期を迎えるため、この時期の前に栄養を蓄え、おいしくなると言われています。
日本ではまぐりがとれるのは、千葉県九十九里、茨城県鹿島灘、三重県桑名市、熊本県有明海や八代海。中でも桑名のはまぐりは、「その手は桑名(食わない)の焼きはまぐり」(「うまいことを言われても、その手にはのりません」のたとえ)ということわざでも有名で、5月〜8月に旬の時期を迎えます。焼きはまぐりは桑名市の名物で、『東海道中膝栗毛』の弥次郎兵衛・喜多八も、桑名でこの焼きはまぐりを肴にお酒を飲んでいます。
■栄養たっぷり! 疲労回復にも
はまぐりに含まれる栄養素は、たんぱく質、カルシウム、マグネシウム、亜鉛など。ふだん不足しがちなミネラルが豊富です。鉄分も多く含むため、貧血予防にも効果的な食材として知られています。
また、疲労回復に効果のあるタウリンを含むのも特徴。タウリンは水に溶けやすいため、汁ごと食べることができる調理法がおすすめです。
■素材の風味を生かして美味しくいただく
はまぐりは、あさりと同様、調理する際は砂抜きが必要です。2〜3%の塩水につけ、砂抜きしましょう。はまぐりの主な調理法を紹介します。
・焼きはまぐり
殻のまま網の上で焼き、好みでしょうゆ、酒を少量かけて味付けしていただきます。
・はまぐりのお吸い物
はまぐりと昆布、水を鍋に合わせ、冷たい状態から弱火でじっくり火にかけます。沸騰したら昆布をとりだし、アクをとります。はまぐりの口が開いたら、火が通った合図。酒、必要に応じて塩を加えて完成です。
・はまぐりの酒蒸し、ワイン蒸し
あさりと同様、酒蒸しやワイン蒸しに。素材のうまみを生かし、おいしく食べられます。
このほか、味噌汁、炊き込みご飯、パスタの具材として調理するのもおすすすめ。
高級食材で、栄養たっぷりのはまぐり。旬の風味を味わいましょう。