今年も早いもので、残りひと月となって参りました。
何かと慌ただしい季節になりましたので、お食事のひと時くらいは、気持ちがほっとできるような献立ですと、嬉しいものですね。
今回は、目にも可愛らしい、そして食べて味わい深い「むかご」をご紹介致します。
先日、百貨店でむかごを見つけました。むかごが出回る時期になったなと、また1年の早さを痛感したわけでもありますが、店員さんがこのようにおっしゃっていました。
「昔は、むかごが出回るのを楽しみにされていた方が多くいらしたのですが、今はお声掛けしても、むかご自体をご存じなく、素通りされることが多くなりました。特に、お若い方は、全くご存知ないようですよ。こんなに美味しいですのに。」と。
むかごは、出回る時期が少ないこと、知名度が余りなく需要が少ないので、スーパーなどでは見かけなくなってきましたので、仕方のないことかもしれませんね。
皆様は、むかごをご存知ですか。むかごを召し上がったことはございますか。
■むかごとは
むかごは、山芋の葉の付け根にできる球芽です。
山芋は、地中に茎を伸ばして育っていく作物ですが、地上部分は、近くの木などにつるを巻き付けながら伸び、枝分かれしていきます。その枝分かれする部分の付け根にできる球芽が、むかごです。
つまりは、山芋からできたあかちゃんともいえますね。
むかごの姿かたちは、1センチ前後程のころんとした丸型か楕円型で、大変小さく可愛らしいものです。あかちゃんですから、かわいいわけですね。
むかごの収穫時期は9月~11月ごろですが、旬で言うと10月~11月ごろといえます。
産地の気候により、旬の時期にずれがありますので、今は、北海道や青森県産のむかごが旬をむかえています。
■むかごの栄養価
むかごは、姿かたちが可愛いだけではありません。その栄養たるや、山芋よりも高いと言われているほどです。
具体的には、まずは、アミラーゼという消化酵素があります。
これは唾液にも含まれていて、でんぷんをブドウ糖に変える働きをします。
ごはんを食べた時、噛めば噛むほど、より甘さを感じますよね。これが、まさにアミラーゼのなせる業で、私たちの身体にとって大変重要な酵素です。
次に、アルギニンという必須アミノ酸です。
年齢によって不足していく成長ホルモンの生成を促してくれると言われています。
うなぎは、アルギニンを豊富に含んでいることで有名ですので、山芋と、そのあかちゃん、むかごは、山のウナギと言われたりもします。
成長ホルモンは成長期に盛んに分泌されますが、10代を境にどんどん減少していき、40代では半分ほどになってしまいますので、上手に食べ物で補給したい栄養素です。
最後に言及しておきたい栄養素が、むかごの粘り気、ムチンという成分です。
これは、たんぱく質と多糖類のガラクタン、マンナンなどからなり、抗ウィルス作用や粘膜保護、疲労回復効果があるといわれています。うなぎの粘り気と同じですね。
さらには、皮ごと食べることができるので、繊維も摂取することができます。
とても小粒なむかごですので、調理が大変なのではと敬遠されがちでもありますが、皮ごと食べられると知っていれば、敷居は低くなりますよね。
さっと洗ってゆがくだけ、オーブンに入れるだけ、ご飯と一緒に炊くだけで、本当に、おいしく頂けます。
■むかごの保存方法
むかごが旬を迎えると、農作物の直売所や道の駅などに沢山出回ります。また、通販サイトからお取り寄せすることもできます。
小さなむかごですので、一度には食べ切れない量が袋詰めされています。
上手に保存して、何度かにわけて、色々な方法で食ベてみて下さい。
むかごは、そのまま放置すると、あっという間に乾燥して、表面がしわだらけになります。また、洗ったまま密封容器に入れてしまうと、カビが生えてしまうことがあります。
むかごを洗ったら、表面の水気をしっかりとふき取り、その後、キッチンペーパーで包んで、ジッパー付き保存袋等に入れて冷蔵庫で保存します。
お取り寄せなどで、大量にむかごがある場合は、段ボールの中をおがくずでいっぱいにして、むかごを埋め、冷暗所に保存すると良いです。
■むかごの調理方法
むかごは皮をむく必要がなく、小さいので火の通りが大変早いです。まさに、今流行りの時短料理に最適です。
塩で2分湯がく。ごはんと一緒にたく。お好きな素材と一緒にかき揚げにするなど、様々にアレンジして頂くことができます。
むかごに含まれるアミラーゼの働きから、でんぷんを含む炭水化物などと一緒に食べると、消化不良による胃もたれや胸やけを解消できるので、むかごご飯は、栄養的にも理にかなった献立といえます。
お手軽で、味わい深い、そして、身体にいい栄養分まで3拍子揃っているむかごは、もう少しの時期出回っており、美味しく頂くことができます。
忙しい日々で疲れやすくもなるこの時期、栄養価の高いむかごを、目でも楽しみながら召し上がって見てください。赤ちゃんに癒さるような温かい気持ちになるかもしれませんね。