結納やお食い初めなどのお祝いごとに必ずご提供させていただくお魚が、鯛。「めで鯛」という語呂はもちろん、七福神で商売(漁業)繁盛の神様・恵比寿さまが左手に鯛を抱えていることからも、慶賀と対になって伝えられてきた魚でございます。また、古くから日本では「海老で鯛を釣る」(小さな投資や労力で大きな利益を得ることのたとえ)、「鯛の尾より鰯の頭」(大きい団体で低い地位に甘んじるより、小さい団体の長となる方がよいというたとえ)など、「鯛」を魚の最上位に位置づけているかのような故事成句が多くございます。
本日は、魚の頂点にある「鯛」に対する、私どものこだわりをお話しさせていただきます。
■しげよしでは天然の真鯛にこだわっております
広義にはスズキ目タイ科の魚を「鯛」と呼ぶため、マダイ、クロダイ、キダイ、アマダイ、イシダイなど多くの鯛がございます。しかし、私どもは狭義のタイ、すなわち「真鯛」の天然ものを使うことにこだわっております。天然ものの真鯛は身が締まってほんのりとした甘みがあり、ほくほくした歯触りで雅な味でございます。また、見た目もとてもあでやかで、美しい。お祝いごとにお使いいただくことも多い仕出しだからこそ、天然ものの真鯛にこだわりたいという総料理長・斎藤のこだわりが込められています。また、全体のバランスを崩さぬよう、器に合った大きさの真鯛を選ぶようにしております。
■真鯛を選ぶときのポイントは、胴体、目、ヒレにあります
私どもが選ぶのは、赤みがかった桃色が美しい、色鮮やかな胴体の真鯛です。また、眼が澄んでいて、ヒレが力強く、しっかりしていることも肝心です。鮮魚店などで真鯛を選んでいただくときは、
・胴体が色鮮やかであること
・目が澄んでいること
・ヒレがしっかりしていること
の3点に注意していただければ、まず間違いがない真鯛が手に入るかと存じます。
■焼くときは薄めの塩水に浸けるのがおすすめです
真鯛を焼くときは、海水よりもちょっと薄めの塩水に浸けていただけると、全体的に味が締まり、いいお味になります。秋刀魚などは塩を振っただけでもよく味が染みますが、真鯛は肉厚ですので、冷めても美味しくいただけるように塩水に浸けることをおすすめしております。
また、真鯛は焼加減が大切です。皮が弾けてしまいますと見た目が台無しになってしまいますので、弱火でじっくり焼き上げてください。
■ご家庭では真鯛の酒蒸しがおすすめです
もし、お近くに鮮魚店がございましたら、ぜひ実際に真鯛を買ってお料理をしてみてください。鯛のカマや頭には、くせになる旨みがございます。身は焼いたり、昆布締めや酒蒸しにしたりするのがおすすめです。
真鯛をご家庭でお料理していただくときは、そのまま使うと生臭くなってしまいますので、まずはくさみをしっかり取っていただくことが肝心です。塩水に浸けるか、塩をしっかり振ってその浸透圧で出てまいります汁気をしっかり取ってください。
真鯛のお刺身は締めたて、引き立てが一番美味しいものです。時間が経つにつれて歯ごたえが失われてしまいますので、私どもが仕出しに真鯛のお刺身を使う場合は、一手間かけて昆布締めにしております。昆布締めにすることで昆布の味がよく染みて味が締まり、身がぷりっとします。
昆布締めにするときは、鮮魚店で真鯛を3枚におろしてもらって、身に塩を振って、バットなどに昆布を敷いて真鯛の身を乗せたら、真鯛の上にも昆布を敷いてください。昆布で真鯛のサンドイッチを作るような感覚です。バットを冷蔵庫に入れて、ひと晩おいたらできあがりです。
酒蒸しにするときは、蒸す器に昆布を敷いてくさみを取った真鯛をのせ、日本酒を振り、蒸気が上がった蒸し器で8~10分ほど蒸します(大きさにより加減します)。
すだちや唐辛子などともよく合い、淡く、甘い真鯛の美味しさを堪能していただけます。