毎度お引き立てを頂き、ありがとうございます。仕出し割烹しげよしでございます。
このコラムでは、私どもが皆様にお届けする仕出しにつきまして、
心がけていること、大切にしていることを書き留めて参りたいと存じます。
皆様がご家庭でお料理をなさる際にお役に立てそうな、料亭の技なども織り交ぜていきたいと存じます。
少しでも皆様のお役に立つことができましたら幸いです。
■お料理の味わいは「だし」で決まります
本日、皆様にお届けするのは、「おだし」のお話です。素材の味を引き出して、
お料理の美味しさが味の奥深さを引き出してくれるのが「おだし」。
だしは、基本中の基本です。料理人の修行は、だしを取るところから始まります。
ご家庭のお料理でも、だしの味が決まれば、ぐっと上品なお味に仕上がります。
また、うまみがぐっと増すので、薄塩になり、健康にとてもいいお料理に仕上がります。
■だしの「うま味」は5つの基本味のひとつです
「美味しさ」と「うま味」。このふたつは同じようなものにも思えますが、実はまったく違います。
私たちがお食事を「美味しい」と思う背景には、食材やお料理そのものの味だけではなく、
お料理の香りや食感、どこで、誰と食べているかというシチュエーション、体調など、様々な要素が影響します。
これに対して、うま味は、5つの基本味のうちのひとつです。
この5つの基本味に、刺激・温度・舌触りなどを総合したものが、いわゆる「味覚」だといわれています。
■異なるうま味が合わさるとぐっと味わい深くなります
うま味成分には、アミノ酸系うま味のグルタミン酸と、核酸系うま味のイノシン酸、グアニル酸があります。この3つを合わせて使うと、「うま味」が増します。例えば、「黄金のだし」といわれるおだしは、グルタミン酸を多く含む昆布と、イノシン酸を多く含むかつお節の組み合わせです。
私どもがおつくりする和食の「だし」を取る食材は、以下の4つに分けられます。先人から受け継いできた「だし」ですが、こうして見ますと、イノシン酸、グアニル酸、グルタミン酸という3つのうま味成分がバランスよく使われていることがわかります。先人が育んできた「だし」の奥深さに、頭が下がる思いがいたします。
1. 昆布
昆布には、真昆布、利尻昆布、羅臼昆布、日高昆布などがあります。私どもが「だし」を取ります「真昆布」は、ご家庭用とするには少し値が張るものも多うございます。ご家庭で「だし」を取るなら、だしがよく出ます「利尻昆布」をおすすめいたします。日高昆布は、おでんなどに入れて食する食用昆布でございますので、おだしを取るには向きません。
2. かつお節
私どもは、毎朝「枯節」を削って作っております。色が濃い「血合い」が入ったかつお節は濃く、「血合い」がないかつお節はあっさりした味の「だし」が出ます。
3. 乾燥しいたけ
丁寧に干すことで、生のしいたけにはない「うま味」が加わったものが乾燥しいたけでございます。肉が厚く、傘が巻いて、丸っこいものがどんこ、傘が開いて肉が薄く、平べったいものが香信(こうしん)と呼ばれております。
4. 煮干し
カタクチイワシやマイワシ、最近ではサバや飛び魚(飛び子)などを干した食材です。苦みのある頭と内臓を取って使います。
■当店料理人がおひろめする「黄金のだし」
当店の「だし」は、料理人が毎朝取っております。今回は、その「黄金のだし」をご家庭用にアレンジした手順をご紹介いたします。お料理のご参考になれば幸いです。
材料
水…1L
こんぶ…25g
かつお節…25g
ボウルの上にざるを置き、キッチンペーパーをざるの上に敷いておきます。
1. 昆布を1~2時間ほどお水に浸してから、中火にかけます。お鍋がぐつぐつといいだしたら、お鍋から昆布を取り出します。取り出した昆布は、細かく切って冷凍し、きんぴらなどにしていただけると美味しく召し上がれます。
2. 昆布を取り出した鍋にかつお節を加えて、沸騰したらすぐに火を止めてください。
3. の鍋から、用意していたざるのキッチンペーパーにだしを静かに注いで濾します。
4. できあがった出汁は、お塩を少々、淡口醤油小さじ1を入れて、三つ葉などを添えてお吸い物にすると美味しくいただけます。
次回は、私どもが出汁をどのように取り、どのようにお料理に使っているかをご紹介させていただきます。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。