天ぷらに衣揚げ、田楽焼きにしんじょう、お椀にお造り。海老は、会席料理には欠かせない食材です。今回は、「海老」に対するしげよしのこだわりをお話しいたします。
■海老は昔から縁起がいい食材とされてきました
お節にお祝い膳と、おめでたいお食事には海老が付きものですね。
日本では、古来から海老は縁起がいい食材とされていました。平安時代中期に源順(みなもとのしたごう)が編纂した辞書「和名類聚抄」にはすでに、鰕(えび)が掲載されています。国会図書館のサイトからご覧いただけますので、ご興味がある方は
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2544225?tocOpened=1
こちらの6ページをご参照ください。
また、江戸時代中期の学者である新井白石(あらいはくせき)が記した「東雅」(とうが)には「エビとは其(そ)の色の蒲萄(えび)に似たるをいひ、俗に海老の字を用ひしは、其形(そのかたち)の老人の長髯傴僂(ちょうぜんうる)たるに似たる故也(ゆえん)」という記述が出て参ります。「エビの色は蒲萄に似ていて、俗に海老と書くのは、その形が老人の長いヒゲに似ているからだ」という意味です。こちらも、国会図書館のサイトからご覧いただけます。
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/993111
40ページをご参照ください。
また、蒲萄色につきましては
http://fkblog.net/web_color/583822_001052.html
こちらから、どのような色かご覧いただけます。
昔から、海老は長いヒゲを持つから海の「老」という字を当てられており、長寿の象徴でした。また、曲がった腰もその印象を裏付けます。また、海老は脱皮を繰り返して成長するので、成長と新しく生まれ変わるという意味もあります。目が飛び出ているので「めでたい」し、真っ赤な姿で紅白のお料理にぴったりと、いろいろな「見立て」ができる食材でした。さらに、海老を獲るとカゴの中で暴れて威勢がいいので、力強さと生命力の強さをあらわす魚介類とされてきました。
■海老の王様が伊勢海老です
中でも、伊勢海老は大きさといい、締まった身といい、色づきといい、海老の王様と言っても過言ではありません。「伊勢」海老なので三重県でしか水揚げされないように見えますが、イセエビはあくまでもエビの種類。千葉県も全国トップクラスの漁獲量を誇っています。
伊勢海老は5~8月にかけて産卵期。資源確保のため、この時期は禁漁です。千葉県は8月初旬、九州地方は8月下旬から9月、三重県や和歌山県は10月から解禁となります。海が冷たい冬が最も美味しいといわれているので、地域にもよりますが、10月~1月が旬とされています。
お節料理に伊勢海老の献立があるのは「旬」だからなのですね。
■結納に海老を用いるのは「偕老同穴」(かいろうどうけつ)の故事成句から
結納の席にも海老は定番。これは、「カイロウドウケツ」という海綿の仲間に由来します。
カイロウドウケツは円筒状の海綿で、海底に暮らしています。その白い穴の中には、ドウケツエビと呼ばれる小さな海老が住んでいます。多くの場合、ひとつのカイロウドウケツの中には雌雄一対のドウケツエビが仲良く暮らしています。
カイロウドウケツに「偕老同穴」の字を当てたのは、中国最古の詩編「詩経」です。「生きては共に老い、死しては同じ穴に葬られる」という意味で、この言葉がドウケツエビのつがいを表す言葉として用いられました。転じて、夫婦の固い絆を表す言葉とされています。日本でも、平治の乱の顛末を描いた軍記物語「平治物語」に、「偕老同穴の契り深かりし入道にはおくれ給ひぬ」と、夫である藤原信西の死を嘆く、妻の紀伊二位の姿が描かれています。
結納の席に海老が欠かせないのは、夫婦の固い契りをお祝いするからなのですね。
■しげよしは「その時期に一番美味しい海老」を使っています
しげよしは、その時期に一番美味しい海老を目利きが仕入れて使っています。しんじょうや天ぷら、お吸い物に蒸し物、あらいなど、そのとき獲れる美味しい海老に合わせて一手間かけるのがしげよし流です。
小学館 ミュージック&デジタル エンタテイメント様のメディア「Ryotei Style」に、「海老しんじょう変わり揚げ」のレシピを掲載していただいています。
はんぺんを使えばカンタン!海老しんじょう変わり揚げ
「祝い会席御膳のしんじょうがとても美味しかったので、作り方を教えてください」というお客様の声にお答えし、ご家庭向けにアレンジしたレシピを考案いたしました。
ご家庭でもお気軽に海老しんじょうをお楽しみいただけますので、ぜひご覧ください。
本格料亭がつくる仕出しを、ご家庭で。しげよしは、これからもお客様のかけがえのないひとときのためにご期待以上の品質をご提供できるよう、食材にこだわってまいります。お引き立てのほど、何卒よろしくお願いいたします。